前回専門職について書きましたので、今回も引きつづき、専門職関係のことを書きたいと思います。
今回は、上位層が医学部に流れている現状を過去と比較したり、他いろいろなデータを使って、はっきり示してみようかと思っています。
さてさて
最近、高校の後輩の大学生と喫茶店で話をしていた時に、びっくりしたというかやっぱりかと思うことがありました。
なんとうちの高校の理系の上位はみんな医学部を受験するとのこと。最近、そういう傾向があることは知っていましたが、そこまでかと思いました。後輩の言葉をそのままいうと、「理系の最上位クラスはまず医学部狙い。理系の1番はどっかの大学を落ちて東京医科歯科へ、2番は浜松医科へ、3番は東京慈恵会へ、その次くらいから東大を目指す」とか。
本当かよって思っていまいますが、それが現実のようですね。
私たちの時代や私たちの先輩の時代はちょっと違いましたからね。
表1は、ある地方の公立進学校のデータ(1980年卒と1990年卒)です。1980年卒ということは今年で51歳の方の時代で、1990年卒ということは今年で41歳の方の時代ということになります。ちなみに、この高校は1980年、1990年のどちらの年も東大へ現役浪人あわせて15名以上合格しています。
その学校の生徒の理系の順位と現役合格大学を表にしてみました。(表1)
・学年の全体順位ではなく理系志望者の学年順位で1位~70位までを掲載しています。
(学年で理系志望者は180名~200名程度と思われますので、その中での順位です。)
(学年で理系志望者は180名~200名程度と思われますので、その中での順位です。)
・あくまで、現役合格のみで浪人は入っていません。
・現役合格大学の表示は旧帝大+東工大か医学部に合格した場合のみ表示しています。
・あえて医学部合格の部分は赤字にしてあります。
これで当時の受験傾向や相対的な医学部の位置づけもわかると思います。
多分、これを見ると今と全然傾向が違うって感じるんではないかなと思います。
【表1】ある公立進学校の生徒(卒業生)の合格大学(1980年卒 1990年卒)
ほかにも、あといくつかのデータを掲載していきます。
偏差値データは、自宅に保管されていた日本の大学1993年度版(共同編集 河合塾 東洋経済)、日本の大学1999年度版(共同編集 河合塾 東洋経済)、栄冠をめざして2011 VOL.3(河合塾)を参照させていただきました。上記の資料に掲載されている偏差値データは1975年、1980年、1985年、1990年、1995年、1997年、2012年の偏差値データとなりますので、その年代のみとなります。
【表2】 国公立大医学部の偏差値推移
国公立大学医学部については、旧帝大、旧六医大(旧六)、新八医大(新八)、その他の順番で掲載しています。
大学の統合により名称を変更している医学部もありますので、その場合は、大学名の横に旧名称を併記しています。
大学の統合により名称を変更している医学部もありますので、その場合は、大学名の横に旧名称を併記しています。
【表3】 私立大医学部の偏差値推移
【表4】 難関国立大学(東大・京大・阪大・東工大)理工系学部の偏差値推移
お金がある家庭じゃないといけないと言われた私立の医学部もものすごく偏差値が上昇しています。私立大医学部だけでなく国立大医学部の上昇もすさまじいものがあります。私たちの時代の人間から見るとありえないくらい上昇しています。(製薬会社に行っている友人曰く、「私立の医学部は確かに学費がめちゃくちゃ高いけど、将来的に見れば、ペイできるよ。だから選択肢として私立の医学部もありだったんだよね~」と。)
表5では、1985年と2012年について、46大学の国公立大医学部と旧帝大理工系学部の偏差値を比較してみました。
1985年の偏差値と2012年の偏差値は、母集団も違いますので単純比較はできませんので、1985年と2012年の単年で、比較してみました。また、国公立と私立も単純比較ができませんのであくまで国公立同士で比較しました。
1985年では、阪大(理)のボーダーと同等かそれ以下(60.0以下)の国公立大医学部は46大学中37大学もあります。東大・京大の理工系学部のボーダーと同等かそれ以上(62.5以上)の国公立大医学部は46大学中9大学しかありません。
しかし、2012年になると、ほとんどの国公立医学部が東大・京大理工系学部のボーダーと同等かそれ以上になっています。
ということは、以前と比較して、圧倒的に上位層が医学部に流れているということですよね。
確かに、不安が多い時代ですし、たとえ良いといわれる企業に入っても定年まで大丈夫かはわからないですし。そもそも、いい大学に入ったからといっていい企業にいけるかもわからないですし。だから専門職の職業は人気になるのは当然だと思います。
ただ、ここまで医学部人気や専門職人気に拍車がかかると、他の産業(企業を含む)に優秀な人材が向かわなくなるので、日本の産業はどんどん衰退していくのではないかって不安になったりします。
例えば医学部のように先の道、将来が見えるというのが、職業選択をする上でも何より安心なのかもしれませんが、あまりに現実的すぎるような気もします。もっと、日本をこういう風にしたいとか、こういうものを開発したいとか、そういった大きな夢を描いて大学に進学していく生徒が増えてほしいなって思います。ただ、個人個人で見ていけば、そんな不確実な生活に流れてしまう可能性のあるような、夢想家のような悠長なことはいっていられない、将来の生活があるわけだがら現実的な進路選択をするよっていうことかもしれませんが。
それにしても、(医学部の定員は多くはないので、そこまでドッドッと人材が流れている感じはしないかもしれないですが)優秀な人材が医学部をはじめとする専門職に偏っていくような人材の流れになっていくと、例えばこれまでは工学部とかに行って研究開発していたような人が医学部に行くことになるわけですかね~、あと理学部なんかで、基礎研究をすごく長い間積み重ねてきて研究に研究を重ねて、将来すごい発見をするような人も医学部に行く流れですかね~、う~ん、だとしたら日本の産業の危機ですね。
※追加情報
私立医大志願者10年前の1.5倍に(PRESIDENT Onlineより)
医学部の推薦・AO入試実施方法公開 多彩な「地域枠」(2013年度入試)(YAHOO!ニュースより)
かつてない広き門へ 今後8年間の医学部入試と「地方枠」とは?(Benesse 教育情報サイトより 2012年11月21日)
文科省、2013年度医学部入学定員の増員計画を発表(リセマムより 2012年12月10日)
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基本変わらないですよ、高校生の馬鹿さは顕著になって数も減少してますから。一番日本の医学部が難関だったのは戦争中、直後の子供が多く医学部は少なかったころでしょう。普通の学部も然りです。たとえば東大全体の学生見ればおかしなのばかりです。基本何もかもバカになってます。
返信削除データに対して、自分の感覚を根拠にした意見ですね。なんの説得力もありません
返信削除別に高校生レベルでの良さが研究者としての素質と=ではないと思うので大丈夫ではないでしょうか?
返信削除旧帝大クラスに受かる頭があれば、あとはその後の努力と運と心意気次第かと。
そもそも医学部にいって地位と安定を求めるタイプの人間は、研究者には向かないと思います。
お金になる、褒められるから勉強するのではない。興味がある、好きだから学習するタイプの人間じゃないと……。
このコメントは投稿者によって削除されました。
返信削除四年制大学への進学率が27%だった1985年と、50%を超える現代の偏差値を単純比較することは出来ません。分母の生徒の質が全く違いますから。しかも1985年は、丙午の1966年に生まれた生徒が高校を卒業した年で、受験生がとても少なかったのです。競争率が低い分、当然偏差値も下がります。
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