「学力・成績を向上させる方法論を開発する」とかなんとか、最近、私の周りは、なんだか騒がしい・・・
まぁ、そんなことを意識の中に入れていたら、
学習研究・・・へぇ~、最近そんな研究があるんだなと。なにやら、『教育が「教える学問」であるのに対して、学習研究は「学ぶことの学問」』だと。
なにやら面白そうだと思い、このセミナーの講演者(島根大学教育開発センター・森准教授)がどんな研究をしているのか探そうと思い、また探していると
「学部とセンターにより1年次カリキュラムのデザイン研究 -学習科学がもたらす新しいFDの形―」
という研究論文がありました。
内容は、というと、
内容は、というと、
『入学者の多様化が要因となり、授業に参加していても修学が困難な学生の増加が深刻化していている。基礎からの積み上げが基本となる理工系教育においては、入学当初の基礎学力不足がそのまま専門基礎教育科目の単位取得を困難にし、専門教育へも大きく影響を与えてしまう。(中略)このような層が年々増加しつつなることから、成績の分布は常に二極化し、下位層の留年率は年々高くなっている』
特に理工系学部ではこういった問題の解決は喫緊の課題であり、そういった問題意識の中で生まれた取り組みですね。
『FDの目的を「学生の学習効果を最大限に高めること」に据え、これまでの狭義のFD活動に加え、教育改善の役割を新たに担うことになった。(中略)総合理工学部の現状を改善することが本センターのミッション。』とのこと。
1年次の学生の学習効果を最大限に高めるために行った具体的なことがこの研究論文の中で紹介されています。
① 認知的徒弟制を用いてメンター制度の構築
② データ収集し、学生一人ひとりのプロファイルシートを作成
③ 実施組織の組織構築
大きくはこの3つではないかと思いますが。
そして結果検証としてはこの2つを実施しています。
各授業の成績検証として
① 前年度の年度間比較
② 学習室の利用者と非利用者比較
この論文の中で、私が気になったのは
メンターの役割です。
メンターの役割は
スタート時は基礎物理学A(力学)の中で実施する演習の補助と学習室の運営でしたが、後期からは、それに加え「授業外課題の作成」が追加されたと。
この「授業外課題の作成」というものがポイントで、
この「授業外課題の作成」というものは、メンターは授業の進行状況を見ながら、ここはメンティがつまづくであろうと思われる箇所を抽出、そしてその課題に関する考え方をいくつかの小問題に分割して提示し、1から順に解いていけばその問題への考え方が理解できるような導出形式の課題を作成するというものなんです。
そして、これをやった結果・・・
論文の中の言葉をそのまま紹介すると、
『(中略)メンターの提案で実施した課題作成の効果を述べている。これは同じコミュニティにおける先輩としてのスキャフォールディングであると考えられる。スキャフォールディングは、単なる学習サポートではなく、メンティが対峙する課題に関して、メンティの状況に合わせて調整し、結果としてはコミュニティの一員として独り立ちできるようにサポートを行うことを意味する。このメンティの発言に関してメンター自身も次のように述べている。「自習室より問題(作成)の効果の割合の方が大きかったと思います。メンター、は学生と年齢が近い分、学生がどこでつまづくのかが分かります。また、これは僕の偏見ですが、先生たちは、かなり頭の良い人(能力が高い人)たちなので学生がどこでつまづくのか理解しにくいのかもしれません」(中略)初学者が抱える諸問題の解決に関しては、その問題を同じ文脈において乗り越えてきたメンターにしか成し得ないスキャフォールディングが存在することが容易に理解できる。』と。この論文には「兄弟子特有のスキャフォールディング」の存在と書いてありますが。
要は、非常に有効に作用し、大きな成果に結びついたと。そして、その構造もわかりやすく説明がされています。
素晴らしい!!
とかとか・・・・興味深い内容がたくさん詰まっています。
本当は、もっともっと紹介したいんですが、もっと知りたい方は論文をご覧になってください。
この論文には、これ以外にも、いろいろな知見が詰まっているので是非、ご覧になるとよいと思います。
実践・研究をした結果を論文として言語化されると、改めて、なるほどって思うことが沢山あります。
こういった文献などを通じて、学力を伸ばすということについて、より深く考えるきっかけになればいいなとつくづく思いました。
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