2012年7月21日土曜日

「同級生交歓」(本の紹介)

「同級生交歓」(20067月 文春新書)は月刊「文藝春秋」の「同級生交歓」というグラビア記事の50年分が1冊の本になったものです。最近、本になっているのを知り、昨日購入しました。
ブックカバーには『人の一生を左右するのは校風か、学歴か、友人か。意外な組み合わせ、納得の顔ぶれが並ぶ百組の誌上同窓会。月刊「文藝春秋」の名物グラビア50周年記念の忘れ得ぬ一冊』と書いてあります。こういう特集がまとめられて本になるって貴重ですよね。

中を見ると、最初に坪内祐三氏(評論家)がこの「同級生交歓」について語っています。
その中で『(中略)私は、そこに文化人が混じる回を好んだ。それでこそ「同級生交歓」の本来の伝統だと思った。それは旧制と新制の違いとも言える。旧制高校に代表される、かつての日本の教育制度は、単なる受験秀才ではない(むしろその手の秀才は馬鹿にされる)、もっと幅広い知識や教養と持った人材を世に送り出した。だから旧制中学や旧制高校の同級生には、政治家や財界人や大学教授といって社会に有為な人たちばかりでなく、作家やジャーナリスト、俳優、画家、音楽家といったバラエティーに富む人たちが顔を並べる。しかもそのバラエティーの中で、その学校の独自のスクールカラーやあるいはローカルカラーが確かに感じられた。それが「同級生交歓」の醍醐味だった。』という記載が印象に残りました。確かに、こういった幅の広さっていうのがカラーを作っているとも思うし、そういうものが感じられるっていうのが、名門なのかなって思いました。(また、多様性を容認する雰囲気、自分とは違ういろいろな人間を認める環境、そしてそれができる余裕があるっていうのも重要だと思いますね。昔ほどではないにせよ、私達の頃は、まだその部分は残っているような気がしますが。)

さて、中身は、公立小・中学校編、名門小学校編・旧制中学・女学校編・新制中学・高校編、旧制高校・新制大学・その他編と分かれて学校毎に掲載されています。
番町小→麹町中→日比谷高校→東大が私の父の時代はエリートコースといわれていたようですが、その番町小学校も出ていたことにびっくり!旧制高校も出ているのもいいですね~。写真を見て、学校を通じた人と人との関係性を感じるもの楽しいですよね。

ただ、ざっと眺めてみると、東京の学校が多く、地方の学校が少ないのが少々がっかりしましたが・・・。


私は特に高校に興味があるので
掲載されている高校(掲載されたままの校名で記載)は、というと、
東京では言わずとしれた府立一中(現・日比谷高)をはじめ、五中(現・小石川高)、六中(現・新宿高)、十中(現・西高)、第二東京市立中(現・上野高)、都立立川高、都立駒場高、北園高など、国立でいえば東京高師附属(現・筑波大学付属高)など、私立でいえば麻布、開成、慶應など、地方に目を向けると、旧制盛岡中(現・岩手県立盛岡一高)、旧制水戸中(現・茨城県立水戸一高)、旧制北野中(現・大阪府立北野高)、旧制高津中(大阪府立高津高)、旧制神戸一中(現・兵庫県立神戸高)、旧制姫路中(兵庫県立姫路西高)、旧制城東中(現・高知県立高知追手前高校)、宮城県立仙台一高、神奈川県立湘南高、京都府立鴨沂高など。いずれも名門中の名門ばかり。しかも凄い顔ぶればかり。(昔の人の方が、スケールが大きかったのかなと思ってしまうくらい。)

上野高校でアラーキーさん(荒木経惟氏)と立花隆氏が同級生っていうのを見て、エッジがたってる人を輩出しているな~と思いました。それが名門である所以なんですけどね。(上野高校ってどんな人が出ているのかとウィキペディアで調べたら、小椋佳氏や俳優の故渡辺文雄氏など多士済々。なるほどな~)

どの人とどの人がこの学校で同級生なんだってことを知るのもよし、そういう中でその学校のカラーを知るのもよし、昔を懐かしむのもよし、いろいろな読み方があると思いますが、いずれにしてもじっくり読めば読むほど、味わい深い本だと思います。
ただ眺めているだけでも楽しいです。

是非、手にとってご覧ください!

0 件のコメント:

コメントを投稿